罪状 豪華客船踊り食い

殺傷人数 約3000人(アルゴノーティカ乗員数。それ以前は不明)

攻撃性能☆5 残虐性☆2 執拗さ☆4 不死性☆4

罪人ランク 

【初めに】
本記事は以前書いた記事のアップデート版です。
昔ドヤ顔でチャレンジャー海淵とか言っていた頃と見比べてみてくださいね。
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南シナ海の洋上で、豪華客船が処女航海を行っていた。
船の名はアルゴノーティカ号。ギリシャ神話に登場する巨船・アルゴーの名を借りたこの船は、4億8760万ドルという大金を注ぎ込んで建造された。
「12mの波を受けてもシャンパンがこぼれない」と言われる安定性を持つ。外は嵐だったが、総勢3000人の富豪たちは安心して祝賀会を楽しんでいた。

しかし彼らを2つの悲劇が襲った。
1つは何者かにより、船のシステムが破壊されたこと。救難信号も遅れず、陸地まで1300㎞の大洋上で立ち往生することになった。
そして生き残っていたソナーが巨大な物体を捉えた。もう1つの悲劇が、脇目も振らずに深海から浮上してきていた。
堅牢な船が尋常でない衝撃を受けた。

シャンデリアが落ち、吹き抜けから人が宙を舞う。パニックがパニックを呼び、乗客たちは我先にと脱出を図った。

そんな彼らの前に姿を現したのは、地獄から涌き出たような触手たちだった。


【見た目】
・触手

黒みがかった濃い緑の体色。胴体の部分にはタコの吸盤のように棘状の突起が並んでいる。

先端は6本足のヒトデが内側に閉じたような形状をしている。
それが開くとインナーマウスが現れる。口の四隅に鎌状の触肢、上下に補助的な肢が三対6本。その中心に黄色い牙が縦に並んでいる。

・本体

この触手はあくまで生物の一部に過ぎない。本体はタコのような頭(胴体)に、濁った眼球と肉食恐竜もかくやと思われる巨大な口を持つ深海生物である。
触手、本体ともに咆哮を発するため、恐らく肺を持っている。漏斗と思われる管もある。
どういう泳ぎ方をするのか不明だが、31ノット(約時速57㎞)で移動する。

名前はオクタルス(Octalus)という。
(本編中、クレジット中にオクタルスの名前はない。名前の出典はポスターのようである。参考:https://www.imdb.com/title/tt0118956/?ref_=tt_mv_close)

頭部だけで高さ10m程度。全長は不明。アルゴノーティカ号全体に触手を張り巡らせていることから考えると、300mほどはあると推測される。


【生態】

触手は視覚は持たず、聴覚あるいは振動を感知して獲物を襲う。

ネバついた体液をまとい、ダクトを通れる柔軟さを持っている。壁や床の配管を通って、船中どこにでも現れる。

獲物を襲うのは、食欲を満たすためである。巨体を維持するためなのか、とてつもなく貪食であり、誰かを生贄にして逃げるというのは焼け石に水。

彼の食事は触手についた口から獲物を丸呑みにするというもの。触手の中を通る間に獲物は生きたまま消化されていき、肉を削ぎ落とされ体液を搾り取られるという地獄を味わうことになる。

決まった場所に骨を吐き出す習性があり、運が悪ければ血に濡れた骸骨の山に遭遇することもあるだろう。

見た目によらず、高い知能が垣間見える。

アルゴノーティカ襲撃の際は、まずスクリューを狙い船を止めた。
獲物に反撃され、一筋縄ではいかないと分かると搦手を用いる。エレベーターを落とす、ハッチを閉めて閉じ込める、ケーブルを切断して道を塞ぐなどである。
そして誘導した先で船底に穴を空け、水攻めにするのである。

これらは今までの狩りの経験から船の構造を理解しているからと思われる。
南シナ海の底にあるオクタルスの住処には、数多の沈没船やクジラの骨が散乱している。今まで幾度となく船を沈めてきたのだろう。

【対策】

どういう状況で遭遇するかによって、話は大きく変わる。


大きな客船に乗っていて襲われたのなら、運と行動次第で生き残れる可能性もある。大量の獲物に目移りしている間に、ジェットスキーなどの速い乗り物で逃げよう。

気密性の高い部屋で、かつ気絶するなどして音を出さなければ襲われない可能性はある。

小型船の場合、接触の時点で大破するので命はないものと思おう。


戦わざるをえない状況以外では逃げるのが得策である。閉じこもるという選択は、構造把握能力の高さからオススメできない。

この生物と対峙するというのは、全方位から攻撃される可能性の中で戦うことと同義である。特に上下からの攻められた場合、人間では対応できない。パイプなどで入り組んだ天井や水に浸った床などに重点的に注意を払うこと。

また触手は唸り声を発するので、耳を澄ませていれば接近をある程度察することができる。


触手に追い詰められた時でも、柔らかいので銃があれば応戦は可能。先端は高いダメージを期待できるが、激しく動くので根元に近い太い部分を狙うのが良い。

ただし触手を破壊しても本体がダメージを負った様子はあまりない。
身を守るには銃で攻撃するよりは、炎が効果的である。
銃弾を浴びせても怯む程度だったのが、業務用の大きなガスコンロの火が触れた途端瞬時に引っ込んでいた。
ある程度勢いがないと効果は見込めないので、松明などは効かないと思われる。

頭部と接触したら、特に柔らかい眼球を狙おう。神経も集中しているので効果的である。


例え両目を潰しても、触手が健在なら油断はできない。完全に倒すなら、空母を沈められるくらいの火力で焼き尽くす必要がある。


オクタルスの全容はいまだ解明されていない。
動いているスクリューに突進してなぜ平気なのか。銃で削れる程度の牙や触手で、どうやって船底を破っているのか。あるいはカラストンビのような超硬質の部位を隠しているのかもしれないが。
件の海域には海図にない島もたくさんあるという。巨大生物の棲む火山島があるという噂もある。
それらが明るみになれば、この魅力的な生物の研究も進むかもしれない。